TVの新走査規格、プログレッシブ方式とは?


日本のTV方式 NTSCインターレースについて

 前のページまでは主にAV(AUDIO VISUAL)のA(音響)について書いて来ましたが、このページではもうひとつの重要な要素、V(映像)について書いていきたいと思います。

 世界には大きく分けて3つのTV方式があります。
我が国や米国などのNTSC方式、 欧州などのPAL方式、東南アジアなどのSECAM方式です。
 これらに互換性は無く、海外旅行などで買ってきたビデオ、LDなどを帰国後に再生しようと思っても、NTSC方式以外の地域の物は(マルチ走査の機材を持っていれば話は別ですが)再生不可能であります。

 さて、話はどんどん込み入って来ます。
十数年前、BS放送で新たな高画質TV放送であるHDTV「ハイビジョン」が始まるまで、NTSC方式はただのNTSCと呼ばれていました。しかし今ではNTSC525i、またはNTSC480iと呼ばれることが多いです。

 NTSCは525本の走査線を持ち、1秒間に30回トレースします。
 しかし、毎秒30分の1回ごとに始めの1から最後の525本目までを順番に走査する訳ではなくて、始めの毎秒30分の1の間に奇数の走査線を上から下へとトレースし、次の毎秒30分の1の間に偶数の走査線をと、交互にトレースします。この為、毎秒30分の1(1フィールド)毎にトレースする走査線数は、525本の半分の262.5本です。
これをインターレース(飛び越し走査)方式と呼びます。 インターレースのiと走査線数525で525iという訳です。
 もうひとつの480iの由来は、TVの実効走査線(実際に画面の表示に使われる走査線)の数がおよそ その位であることと、DVD−VIDEOがPCと同じプラットフォームのMPEG2という圧縮方式で記録されているカラミで、VGAの縦のピクセル(画素)数になぞらえて、480iという呼び方がされる様になりました。因みに、アメリカでの表記はこちらがメインになっています。
(しかし、厳密にいうとアナログであるNTSCとデジタルの画素数を混同することは出来ないのですが、話が長くなるので割愛)

 さて一方、ハイビジョンは、最近の映画の代表的画面フォーマートである『ビスタビジョン』を元に16:9の画面比率で、NTSCの約2倍の1125本の走査線で走査するアナログ・インターレース方式であります。これも最近では1125i、あるいは1080iと呼ばれる様になりました。HDTV自体はアナログなのですが、オリジナルの情報量がBSに乗せるのには大きすぎる為、送受信時には独自のデジタル圧縮をおこなっています。これをMUSE方式といいます。

 この「ハイビジョンMUSE放送」と「BS&地上波NTSC放送」を同じ一台のTVで見るにはどうすればいいのか?
この難問は、各社の技術屋の大きな悩みになりました。

 まず画面比はハイビジョンに合わせて必然的に16:9になりました。しかし、これで4:3の画面をただ横に引き延ばしては、細面の女優さんが小太りになってしまいます。
 それに、ふたつの方式の周波数をひとつのブラウン管で同立させるのは、コストや画質の面でいろいろな弊害があり難しい状況でした。

 そこで、不自然にならない程度に縦方向の上下を幾らかカットし、横方向にも中央から端に行くに連れ、歪み率を大きくしてなるべく自然に見えるようにし、走査方式もNTSCをハイビジョンの方に合わせることにしました。

 こうして、各社それぞれに525本の走査線をHDTVに寄り添うようにトレースする、さまざまな方式(フィールド倍速方式、ダブルトレース方式、アップ・コンバート方式など)が考え出されました。
 しかし、初期のハイビジョンTVで見るNTSCはどれも酷いもので、エッジ(輪郭)に階段状(ジャギー)ノイズは出る、残像で動画はボケボケ、NTSCより見た目の解像度が劣る、といいとこなし状態でありました。無理に違う方式のものを両立しようとしたのですから、破綻が起こるのは自明であります。

 こんな状況の中、HDTVを無視し、NTSCだけに特化した16:9のワイドTVが発売され、ハイビジョンTVに比べ圧倒的に低価格だったこともあり、大人気となりました。
 画質にうるさいAVマニアの間でも、ズーム・モードがワイド版LDを観るのに最適と、支持者が続出しました。岩窟王もその一人であります。

プログレッシブ方式の特徴

 そうこうしてる間に、DVD−VIDEO、2000年から試験放送を開始するBSデジタル放送と、新しい規格が登場してきました。
 日本のデジタル放送の走査規格は525i(480i)、525p(480p)、デジタルHDTVの1125i(1080i)と1125p(1080p)*であります。この525pが、いま話題のNTSCプログレッシブ(順次走査)方式です。
 *追加情報:アメリカでのデジタル放送規格の影響で最後に750p(720p)も追加されました。これは1125i(1080i)、1125p(1080p)程データを食わない点と、1125p(1080p)や1125i(1080i)への上位変換にも525i(480i)、525p(480p)への下位変換にも都合が良い(丁度中間で、変換に伴なう悪影響が最小限で済む)という点で採用された走査線数です。日本ではBS朝日が率先して取り入れようとしている放送フォーマートですが、この750i(720i)をオリジナル通りに再生できるD4端子付きTVは今のところ限られています。*尚、1080pは規格はありますが、実質的には送り手側のデータのキャパが限られている関係で、DHDTV放送でも1080iまでが主になると思われます。

 一部を除き、DVDビデオソフトは映画のフィルムと同様に、1秒24枚(コマ)の静止画がプログレッシブで記録されています。それを再生時にインターレースへ下位変換しているのです。
 このMPEG2圧縮によるDVDビデオ規格は世界統一規格で、プレイヤー側でNTSC、PAL、SECAM、それぞれのソフトかを認識した上、インターレースに対応して再生します。(PCで再生する場合はプログレッシブですが、マニアに云わせると、PCで観るDVDはおしなべて低品位なのが現状です)
 走査方式の違いはあれ、映画配給会社やソフト販売会社による要請で加えられた地域限定(リージョナル)コードがなければ、世界中の映画ファンはCDと同じ感覚で映画を愉しめた事になります。

 前記したように、インターレースは、周波数15.75kHzで525本の走査線を奇数だけのトレース、偶数だけのトレースと毎秒30分の1回づつ交互に走査するので、1フィールド毎の絵に使える走査線は262.5本になります。
 この為、1フィールド別に見れば不完全な画像が映っているに過ぎません。我々は残像現象で完全な情報を見ている様な錯覚を起こしているだけなのです。

 これに対しプログレッシブは、1フィールド(毎秒30分の1)あたり、インターレースの2倍の31.5kHzで、走査線の上から下に順番に走査します。(この為、525iが「飛び越し走査」と呼ばれるのに対し、525pは「順次走査」と呼ばれます)
 つまり、1フィールドあたりインターレースの2倍、525本の走査線をフルに使用出来るので、フィールド毎に完全な画像が映し出せる訳です。どちらが高画質かは、言うまでもないでしょう。

近い将来の標準機、プログレッシブTV

 最新の高画質TVは、来るべきデジタル放送時代を見越して、525i、525p、1135iに対応したマルチ・スキャンになっています。もうすぐ使命を終えるMUSE・HDTVのチューナーを内蔵せず(別売り単体チューナーやHDTVをNTSCに下位変換するM/Nコンバーターで対応)、従来の価格帯と変わらない位にまで低価格になった事で、今後はTVと言えばインターレース専用機ではなく、マルチ・スキャンの『プログレッシブTV』を指すことになるでしょう。

 さて、家電各社がこの大転換期の生き残りを賭けて、心血を注いでいるのが、525iを525pや1135iに上位変換する『I/P変換技術』の精度であります。
 つまり、地上波、BS、CS、LD、DVD、ビデオなどを、いかに「自然に緻密に美しく」プログレ化出来るかが、生死を分ける重大な問題になっているのです。これはマニアうんぬんとは関係無い、業界の大きな動きであります。

 ソニーがフラット・ブラウン管のベガを発売した途端、ベガしか売れない状況になった事を教訓に、時代の潮流に乗り遅れまいとしてのことだろうと思います。

TVのD端子について

 BSデジタルチューナーとTVを結ぶ映像信号端子を「D端子」といいます。これにはD1からD5まであります。
 しかし、D2端子というのは欠番(製品化されていない)で、D5端子は将来製品化されるTVに付く予定になっている端子ですので、事実上はD1端子とD3端子のTVが大半を占めます。
 現在発売されているTVに付いているD端子で1番多いのはD1端子です。ですが、これは現在のNTSCの放送規格である525i(480i)のデジタル放送にしか対応しない為、デジタル・ハイビジョン放送などの高画質放送は再現できません。
一般的にはD3端子が付いているTVを買えば、主要な映像フォーマットにほぼ対応しますので安心です。

各D端子の内訳は以下のとおりです。(●が対応、×が未対応です)
下が映像フォーマット、右がD端子D1 D2D3D4D5
525i (480i)
525p (480p)×
1125i (1080i)××
750p (720p)×××
1125p (1080p)××××


DVDのプログレッシブ出力について

 99年の秋から冬にかけて、DVDPは大きな進化を遂げることになりました。
プログレッシブ映像出力端子や、オーディオの高音質新規格、DVDオーディオやスーパーCD再生機能の登載であります。
 中でも、DVDPへのプログレッシブ映像出力端子搭載は、家庭で観る映画の画質を飛躍的に向上させたエポック・メイキングな出来事として、AVマニアの記憶に長く残ることと思います。

 前記の様に、一部を除いて、DVDソフトは元来、静止画で記録されています。これをインターレース化せず、ストレートに2−3プルダウン方式(映画フィルムを525p変換する為の最新方式)でプログレッシブ化して取り出そうというのが、「プログレ出力」です。

 しかし、あまりに高画質な為、海賊版のマスターにされるのを恐れた著作権者(映画会社など)が、従来のマクロビジョンのコピー・ガードでは心もとないと難色を示した為、約一年間に渡り、当事者間で新コピー・ガードの規格を決める協議が続きました。この問題が解決した99年の11月に、パナソニックから世界初のプログレッシブ映像出力搭載DVDPが発売され、その後、パイオニアを始めとする各社の高級機に多く搭載され、今日に至っています。

 このプログレ出力で観るDVDソフトの画質は、「I/P変換」の弊害も最小限で、パッケージ・ソフトとしては最高クラスの高画質ソースになっています。勿論、再生する為には、480Pに対応したHDTVかプログレTVと、プログレ映像出力端子のあるDVDPが必要です。


 さて、今回のAV講座はひとまずこの辺で終わりにします。
始めにも触れましたが、答えられる範囲の御質問には「王国伝言板」で対応致しますので、お気軽にどうぞ。
 また、ソフト関係の投稿&質問は「DVD輸入・お助け合い広場」の方でも受け付けております。どうぞ、宜しく!


【2003年夏、追記】
 いやぁ〜、時間の経つのは早いもので、こちらに掲載した情報も一部はかなり時代遅れなものになってしまいました。当時はデジタルBS/CS放送も開始されていませんでしたし、D-VHSデッキやDVD(&HDD)レコーダーなどという機器も世に出る前だったからです。

 110度BS/CSデジタルハイビジョンTVにしましても、最近は1999年当時の525i専用ワイドTVと大差無い価格で入手可能になりつつあります。(僕も遅ればせながら今年の春、SONY の「KD-36HD900」を購入しました) 低価格化が進むDVDPにしましても既にプログレッシブ出力機能搭載は当たり前になり、より高性能化しております。また、AVアンプの音声・音響規格に目をやりますと、こちらの記事でもご紹介したDD、DTS、ドルビープロロジックなどのフォーマートに、ドルビーデジタルEX、DTS-ES、ドルビープロロジックUといった新たな定番が加わり、その上、DTS Neo:6、MPEG-2 AAC(BSデジタル5.1Ch)、DTS 96/24、...と新たなマルチチャンネル(6.1Chや7.1Ch)フォーマットがその後も続々と登場致しました。このようにAV機器を取巻く環境は常に進化し、日々、より低価格化、高性能化、多機能化しております。
 一方、パッケージソフトの世界にしましても、PS2の爆発的ヒットと専用プレイヤーの急激な低価格化で、DVDPはどこの家庭にもある「家電」となって、今やすっかりDVD全盛の時代です。 レンタルビデオ屋ではかさばるVHSテープに換わり、薄くて軽く、より高画質・高音質なDVDが幅を利かせるようになりました。かつてAVマニアに愛されたLDは、もはやすっかり過去の遺物となっております。(寂)

 大仰に「初心者の為のAV講座」などと銘打った記事ですので、なにか新たな動きがある度に掲載記事を修正するのが本筋でしょうが、それも大変です。(汗) ここの記事は、1999年から2000年当時のオーディオ・ヴィジュアル情勢はどういったものだったかという、AV史にでも触れるおつもりでお読みいただければ幸いです。

 なお、最新の初心者向けAV機器につきましては、「岩窟王お薦めの初心者〜中級者向けAV機器システム(2003年6月末時点)」でその一部をご紹介しておりますので、よろしかったら参考になさって下さい。


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