「百物語 T宮さんが…」


百物語 T宮さんが…
  ハミルトン  1999/06/11



港区に土地勘のある方、地図を持っている方には
想像しやすいかもしれません。
まだ私が子供の頃の話です。


皆さんの中でT宮J郎という俳優さんをご存じの方はおられるでしょうか。
伏せ字にしといて 何言ってやがる と思われるでしょうが
家に来られても困るのでそのままにします。

T宮さんは 映画やテレビドラマの主役をこなし
元麻布に住む有名二枚目俳優でした。

ある時、その彼が自宅で散弾銃の銃爪(ひきがね)を足で引いて自殺したのです。

そして残された家族はしばらくして引っ越してしまい、
自宅は新しい入居者もないまますっかり空き家になっていました。


そして 何年後かの或る日...


ワイドショーの心霊特集で あるタレントさんが
T宮さんの幽霊を見たと言って その見た場所まで出向き、
状況を説明してましたが なんか嫌々やってるようなのです。

不思議でしたが
さほど気にもとめませんでした。

これを観た私は興味を惹かれ、次の日の学校で
友人Kに 放課後、そのT宮さんが出たT宮さんの元麻布の自宅まで行こうと誘い、
Kも快諾したので 行く事になりました。


そして放課後。
辺りは薄暗くなってきてましたが 私は ふと、思いついて
「なあなあ、このまま単に行ってもつまらないから 暗闇坂 通って行こうぜ。」と言うと
「あ、良いねぇ。行こう。」とKも言います。
この坂も出るって有名な所です。


麻布十番から回り込んで坂を登った為、
T宮さんの自宅に着いた頃には 辺りはすっかり暗くなっていました。


しばらく二人で 周りをキョロキョロ見渡しても何も見えなければ、何も聞こえないので
「そろそろ、帰ろうか?」とKが言うので
「ああ、そうだな。」と私が答えて帰ろうとすると 何処からか何やら音がします。


「ウーー、ウーー、」あれ?なんだろう。
ウーーッ、ウーーッ

どんどん音が大きくなってくるので 音のする方に顔を向けたら
なんと、
オーーッ!オーーッ!オーーッ!
と、とても人間の声とは思えない まるで断末魔の叫びのように絶叫し、
この世にはいないはずのT宮さんが電柱の一番上に立ち、
大きく眼を見開き、とても苦しそうな表情でこちらをジッと睨んでいました。



とても驚いた私達は必死に逃げました。
その後は 二人とも終止無言のまま 家路につきました。
見てはいけないものを見てしまったと思ったのです。


そして、今まで誰にも言わないできました。
誰かに言うとT宮さんが私の家はおろか、聞いた人の家にも来るような気がしたからです。


ここまで読んでくれた方で もし、T宮さんが来てしまった方はごめんなさい。
先に謝っておきます。


それ以来、疎遠になってしまったKに卒業してから道で偶然会った時に聞いたら
「誰にも話していない。」と言っていました。
人に喋らない理由も私と同じでした。やはりね。

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