「審美眼」

独り言    岩窟王    1999/08/17


 SEGA BBSで最近、
「○●(過去の名作)って面白い?」または
「●○って言われるほど、面白くない」という
書き込みを見掛けますが、
映画史におけるエポック・メイキングな作品を「いまの娯楽作品と比べると」
などと言う人は、はっきり言って、中年にでもなれば
映画とはオサラバしてしまう程度の映画ファンでしょう。



 現在製作されている多くの映画は、過去の名作の模倣や
偉大な先人たちへの尊敬から創られている事に、
なぜ気付かないのか不思議です。


 そりゃ、映像技術は常に進化して行きます。
しかし、それらの技術を最初に試みた作品や、
初めて味わう類の恐怖にスリルとサスペンス、
想像を越えたイメージやビジョン、
知的好奇心や本能の渇きを呼ぶ物語、
笑いや共感や感動など
普段ではけして観ることの出来ない、非日常の世界を
「初めて」あるいは「改めて」感じさせてくれた名作、
傑作の数々が当時の観客に与えた衝撃を越えるほどの
作品は、年に1本あるかないかでしょう。


 そういった作品には独自のオーラがあり、
例え年月を経ていても、時の風化を寄せつけないだけの「何か」が
あると思います。
 偉大な監督、スタッフ、大スターの絶頂期の作品には、
その何かが詰まっています。
 それを感じ取れないとしたら、その人の感性に
なんらかの問題があるのではないでしょうか。



 映画はけしてアミューズメント・パークのアトラクション
程度のものではないと信じています。
これはよく言われる事ですが、映画とは、
絵画や文学、音楽や演劇などの要素を合わせ持つ、
「総合芸術」に他なりません。

 そして20世紀に誕生したこの芸術を鑑賞するのは
貴族や聖職者や権力者などの特権階級にある人間
ではなく、我々、一般大衆です。



 音楽の素養がある人や、専門的な教育を受けている
人間には、楽曲の価値判断が安易です。
それは文学や絵画、演劇についても同様でしょう。

 そして、芸術に親しむことが当たり前だった
階級では、それなりの教養や感性が備わるように
幼い頃から育てられる為、芸術に対する一定の
審美眼があったように思います。


 その点、現在は不幸な時代です。
漫画とゲーム、バラエティ番組と偏差値教育、
企業タイアップの洋楽をパクった流行歌によって
育って来た、今の日本の平均的観客の審美眼とは、
ウケる要素の方程式に乗っ取って量産される
「アトラクション映画」は面白く感じるのに、
過去の名作に対しては冷淡に「退屈」の一言で
かたずけてしまう程度のものなのでしょう....。

 勿論、僕だって名作・傑作と呼ばれる作品すべてが
素晴らしいとは思いませんし、アトラクション映画も
けして嫌いではありませんが、
その時代の規制や限界や常識、それから僕自身の理解や
感覚を越えた世界にいざなってくれた作品や監督に対しては、
素直に畏敬の念を覚えます。



 読み返すと、ひどくエラそうですね。すみません。
でも、感性や審美眼を養うにはどうすればいいのでしょう?

えてして、他人や権威者の意見を鵜呑みにしやすく、
付和雷同型の人間が多い中で、自己の感性を磨き、
独特で、それでいて公正且つ普遍的な審美眼を養う
のは容易ではありませんものねぇ。
やはり生れついてのモノってのが決め手なんですかね。
なら、問題外か....。

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